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「おい、生きてるか?」



 見回り中、襲いかかってきた雑魚どもを片付けた後。


 壁にもたれて座り込んでいる、血だらけでボロボロになった五人の姿が目に入った。



「っ、誰だ……敵か?」



 一番血まみれな男が、視線だけをこちらに向けて掠れた声を絞り出す。身体は限界に近いようだが、彼の目にはまだ闘志が宿っていた。


 意識がはっきりしているのなら、この大量の血の多くは返り血なのかもしれない。



「あー違う。俺はただ治安が悪いこの辺りの見回りをしてるだけ。だからお前らみたいに酷い状態の奴がいたら、救急車を呼んでるんだけど……」



 どうする?と彼らに目線を合わせるようにしゃがめば、「俺らに、近づくんじゃねェ……!」と。血まみれ男の隣にいる奴に睨まれた。


 血で赤く染まった前髪の隙間から覗く、鋭い眼光。


 けれど叫んだ反動で傷が痛んたのか、彼は小さく呻き声をあげ、そのまま黙り込んでしまった。



「……敵じゃないなら、お前は、っ誰だ」



 肩で息をしながら言葉を発する、先ほどの血まみれ男。


 本名は言えないし……今の格好の名で答えるか。



「俺は、雨天だ」