「ごめん、今度からはちゃんと名前で呼ぶから!」
あまりにも落ち込む彼らに申し訳ない気持ちが湧いてきて、約束すれば“そうして下さい!”と食い気味にお願いされた。そんなに嫌だったのか……。
それにしても、みんないつまで敬語を使う気なんだろ。
「それでは、指名された僕が説明しますね」
「よろしくお願いします!」
なんとなく、あたしも彼らに合わせて敬語で話すことにした。
「雨貝八永さん。あなたはこの学校にいる暴走族についてご存知ですか?」
知りません、とあたしは首を横に振る。
櫻木高校は有名な不良校だ。彼の言い方からして、かなり上位の族のメンバーがここに通っているのかもしれない。
誰か知ってる奴はいるかなーと気になりながら次の言葉を待つ。
「では、そこから説明します。なんとこの学校には────関東一を誇る暴走族の総長、副総長、それから幹部たちが全員揃っているんです!」
え。まさかそれって────…



