「俺は広島 和樹」
「僕は江口 香だよー」
「俺は山田 太郎っス!」
あたしが名前を尋ねる前に、赤、黄色、青信号がそれぞれ名乗ってくれた。
なんか青信号の名前も気になるけど……今はそれよりも聞きたいことがある。
「ねぇ、なんでその髪色にしたの?」
これだ。本当に何なんだその信号機カラーの髪は!
まさかみんなで話し合って揃えたとか……?
気になりすぎたので聞いてみたら、三人ともカッ!と思いきり目を見開いた。……うん、ちょっと怖いかな。
そして三人揃って“聞いてください!!”となぜか敬語で迫ってきた。
「な、なに?」
みんなの勢いに押されて吃ってしまう。
「ここからは僕に説明させてください!」と興奮した黄色信号が手を挙げた。その周りでは赤、青信号が“俺も俺も!”と子供のようにアピールしている。
え、なにこれ。あたしが選べってこと?
「えぇーと。じゃあ、黄色信号で!」
「黄色信号?」
彼が不思議そうに首を傾げる。
「あ、ごめん。みんな信号機に似てるからつい……」
そう彼らの髪色を指して正直に答えると、三人は肩を落としてわかりやすく落ち込んでしまった。



