「もうすぐホームルーム始まんぞー」



 まだ廊下にいる生徒たちを追い立てながら歩くコウの後ろをついて行けば、彼は『2−A』と書かれた教室プレートのドアの前で立ち止まった。


 教室の外からでもガヤガヤと中の騒がしい声が聞こえてくる。



「俺が先に入るので、呼んだら入ってきて下さい」


「はーい」



 予鈴が鳴ったと同時に、コウが教室に入った。


 静かにしろ!と生徒たちに注意している声が聞こえ────



「今日は転校生を紹介する。アメさん、入ってきて下さい」



 呼ばれた。よし、行くか。



 ──ガラララ。


 スライド式のドアを開けて、教卓の後ろに立つコウの近くまで歩いていく。



「雨貝 八永です。よろしくお願いします」



 そんな簡単な自己紹介をして、下げていた頭を上げた瞬間。



「……うっわ、超美人じゃん!」

「チッ、女かよ……」

「てか黒髪って珍しくね!?」

「イケメン来いよ! イケメン!!」



 クラスの奴らが一斉に騒ぎだした。