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『あたしの名前は雨貝 八永。クラスはみんなと違ってA組だよ』



 全員が自己紹介をした後、『じゃあもう家に帰るから!』と彼女は足早に屋上から出て行った。



「あいつ転校初日からサボんのかよ」



 ギャハハ!と。


 茜が品のかけらもない笑い声を響かせてドアの方を見る。



「顔はいーけど、変なやつだったな〜」



 そんな彼に、藍もくつくつと喉の奥から笑って失礼な言葉をつけ足した。



 ほんの少しつり目で、黒に青が混ざったような不思議な色の瞳。


 髪は肩につくほど長くはなくて、この学校では珍しい黒髪に一本だけ入った青のメッシュ。


 制服はきちんと着ていたけど、ブレザーの下に青の前開きパーカー。



 至る所に“青”がある彼女は、美しく整った顔立ちをしていた。



 かなりの美人だったけど、確かに変わった子だったな……。


 そんなことを思いながら俺は輝たちの近くへ足を運んだ。