「せっかく会ったんだから、自己紹介でもしない? その様子だと本当に俺たちのこと知らなそうだし……」



 銀髪からの視線を痛いくらい感じている中、そう深緑髪が提案した。


 「うん、知らない」と頷けば、「らしいね」とキラキラした笑顔を向けられる。きっと彼のあだ名は“王子様”だ。



「じゃあ、まずは俺から。俺の名前は(かば) 想乃(その)。君と同じ学年のC組だよ」



 そう言って深緑髪もとい想乃は、自分の深い青のネクタイを指さした。


 櫻木高校では一年生は赤、二年生は青、三年生は緑と学年カラーが決まっている。だからネクタイやリボン、または上履きに入ったラインの色から生徒の学年を見分けられる。



「えー、俺は早坂(はやさか) (あかね)。クラスは2−B」



 と赤髪。


 もう怒りは収まったようで安心した。



「俺は千々松(ちぢまつ) (あい)。クラスは茜と一緒。よろしくな〜」



 と藍髪。


 よろしくだなんて微塵も思ってないだろうな。



「……白石(しらいし) (てる)。2−D」



 と銀髪。


 また眠くなったのか、金髪の方へおぼつかない足取りで向かって行った。



「君が言っていた“金髪”は、綾瀬(あやせ) 真琴(まこと)。クラスは輝と同じ2−Dだよ」



 金髪に関しては想乃が教えてくれた。まさか名前まで可愛いとは!