「転校生なのはわかったけど、なんで屋上に来たの? ホームルームもう始まってるよ?」
「さっき教室に向かおうとしたら、理事長から“屋上の戸締まりを確認してほしい”って頼まれたんだよね」
「……でも俺らが屋上を溜まり場にしてんのは、理事長も知ってることだけどなー?」
藍髪の警戒心がさらに強まった。
溜まり場の存在を知る理事長が、誰かに屋上の戸締まりの確認なんか頼むはずないと言いたいのだろう。
だけど実際に頼まれてるんだ。
あたしはずっと握っていた銀色の鍵を、屋上のドアの鍵穴に差し込んでみせた。
「ほら、これが証拠。理事長から預かった屋上の鍵」
「本当だ、ここの鍵は理事長しか持っていないはずだし……」
疑ってごめんね、と深緑髪に謝られた。
いきなり知らない奴が自分達の溜まり場に来たんだ、警戒するのも無理はない。逆の立場ならあたしだって似た反応をしたはずだ。
……それよりも暁。理事長だけが持っているような貴重な物をあたしに預けるなよ!
いい加減な理事長に呆れながら、あたしは彼が必要のない確認を頼んできた“本当の目的”について考えた。
ここに何かあるのか。
それともこいつらに会わせるためか。
だとしても、何が目的で────…



