「──で、ここが俺らの“溜まり場”だって知ってて入ってきたのか〜?」
「溜まり場? ……知らなかったけど」
この学校に来たのは今日が初めてなんだから。
そっちから質問してきたくせに、藍髪が「ふ〜ん」とあたしの言葉をどうでも良いことのように流してくる。そして。
「ほんとにかー?」
何かを探るような瞳で、あたしのことをじっと見つめた。
……不快だ。
取り繕った笑みも。
言ったことを信じない態度も。
何かに怯えているような、その瞳も。
……まぁでも、特に気にしないでおこう。ここの生徒たちに深入りするつもりはない。
「本当だよ。だってあたし今日が初登校の転校生だし」
「「「転校生!?」」」
三人の声がぴったりハモる。
「え、そんな驚くこと?」
「なんつーか、こんな微妙な時期に転校してくる奴もいるんだな〜って」
……それはあたしも思ったよ。けど断れない父さんの命令なんだから仕方ないじゃん!
なんて愚痴を今日会ったばかりの人達に言えるはずもなく、「まあねー」と適当に返しておいた。



