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それから、どのくらいの時間が経ったのか。
あの二人は顔面蒼白で帰っていったけど、それだけは嫌で。かといって“今の状態”では教室に戻れないあたしはすぐ側の旧校舎内へ駆け込んだ。
『ここの女子生徒は全員、先輩には逆らえないんだっけ。“紅薔薇”の特攻隊長さん?』
『ふーん。じゃ、あたしに近づくなって全員に伝えといて』
『あっ、それと──今日のこと、誰にも言うなよ』
声を出せず、どの言葉にも首を縦に振ることでしか反応できなかったあたしに対して。
そう無表情で言い捨てたあいつの姿を今でも鮮明に思い出せる。
(なんだよ、これ……)
特に何もされてないのに、まだ手の震えが止まらない。今までいくつもの修羅場をくぐってきたあたしでも初めて味わった感覚。
「……っ、ほんと何者だよ、あいつ……」
駆け込んだ先、埃をかぶった汚い空き教室で呟いたその言葉が、あいつに届くことはなかった。


