真琴の言葉にみんなはただ唖然としていたが、少しして、輝が彼の近くへ歩み寄る。
「……無理はすんな」
ぽんと優しく彼の頭に手をのせた輝に、真琴は大きく頷いて顔を綻ばせた。
輝は彼の頭を撫でる手を止めないまま、視線だけをこちらに向ける。
「ありがとう。八永」
それは初めて見た時よりも柔らかい笑顔で。
そういえば輝に名前を呼ばれたのは初めてだなぁと、今になって気づいた。
──真琴と藍があたしのいる時間帯を避けて倉庫に行っていることを知ってから、最近あたしが倉庫に行く頻度は減っていた。
だから今更だとしても、二人に避けられる状況が今後も続くようなら、“仮の姫”の座を降りるつもりだった。
だけど……もうその必要はなさそうだな。
あたしは先ほどの真琴の言葉を振り返り、もう少し彼らと一緒にいようと思い直した。


