「──落ち着いた?」
「……ん、」
真琴が制服の袖で涙を拭いながら小さく頷いたのを見て、あたしは彼の頭にのせていた手をそっと離した。
(……そういえば結局、みんなはどこにいるんだろ)
あたしが屋上に来てからもう30分近くは経ったのに、誰も来る気配がない。何か用事があったのかな。
「ねぇ綾瀬、」
「……“真琴”でいい」
さっきも呼んでたし、とずびずび鼻をすすりながら彼は言う。
うそ、あたしずっと『綾瀬』って呼んでなかった!?
今まで避けられていたから驚いたけど、真琴との距離がぐっと縮まったようで嬉しかった。
「わかった。これからは真琴って呼ぶ」
そう決めて笑えば、彼もニカっと初めてあたしに笑顔をみせて。
「じゃ、俺も八永って呼ぶな!」
……もはや“美少女”にしか見えない。
満面の笑みを浮かべる金髪の彼は、天使みたいに可愛かった。


