「っ、なんで、そんなこと言うんだよ」
お前に酷いことばっか言ったのに、と困惑を露わにする真琴に「気にしてないから」と即答する。
「なんで……。お前、俺が嫌いじゃねぇの?」
……何を言ってるんだ、こいつは。
ゆらゆらと困惑で瞳を揺らす彼に、あたしは思わず笑ってしまった。
「前に“大好き”だって言ったこと、もう忘れちゃった?」
屋上で“五閃”の正体に気づいたときの話だ。相手に嫌われたからといって、あたしも相手を嫌いになるわけじゃない。
そう伝えると、真琴の大きな瞳がさらに大きく見開かれた。そして今にも溢れそうな大粒の涙がじわりと目尻に浮かぶ。
「……っご、めん……」
けれどそれを零さないように上を向き、ぱちり。
一度大きく瞬きをして、今度は真琴があたしを真っ直ぐに見つめる。
「今まで酷い態度とって……っ本当に、ごめん!!」
その潤んだ瞳から────もう、恐怖の色は消えていた。


