「今日は倉庫来る?」



 食べ終わって空になったどんぶりを片付けていた時、香が腕にひっついてきた。もう慣れて感覚が麻痺したのかあまり痛みは感じない。


 あたしも信号機たちもお弁当組じゃないから、昼はここの学食を利用している。


 今日頼んだメニューはピリ辛坦々麺。後を引く辛さが美味しかった。



「どうしようかなー」



 結局、お披露目会の日から藍と真琴には一度も会っていない。ただ倉庫には毎日行ってるらしいから、あたしがいる時間帯を避けているようだ。


 だから最近は倉庫に寄らず帰宅することが多いんだけど……



「また一緒に大富豪やりたいっス!」


「えー、トランプは前もやったから今日はウノね」


「前もそう言ってウノにしたじゃないっスか!」



 ……また始まった。


 一緒にいてわかったこと、太郎と香はよく言い争いをする。そしてそれを止めるのはいつも和樹の役目だ。



「トランプ!」

「ウノ!」

「トランプ!」

「ウノ!」


 もう両方やれよ!!



「……ちょっとトイレ行ってくる」


「おう。気をつけてなー」



 高校生に見えない二人は放っておいて、あたしは和樹に行き先を伝えそそくさと食堂を出た。