「それじゃあ、仕方ない」

ボスはそう言うと次の瞬間消えた。

いや、消えた訳では無い。

走り出したのだ。

それがあまりにも早いだけ。

正直言って私はボスに勝てない。

だから今まで逆らわなかった。

そんなことを考えていると、ドンッという大きな音が聞こえた。

音の方向を見ると…。

ボスが綾人に殴りかかって綾人が吹っ飛んでいた。

「綾人ッ！！」

自然に声が出ていた。

「へーきへーき
こんくらい」

綾人は無傷だった。

あのボスに蹴り飛ばされて？

「こっからは俺のターン」

綾人はそう言うとボスの方を向いて、殴りかかった。

またもや、ドンッという音がなる。

綾人が飛ばされたのだろうか。

だが、そうではなかった。

逆にボスが吹っ飛んでいる。

綾人、強すぎじゃない？

私より絶対強いよね。

ボスは傷を負っていて、どちらかと言うと綾人の方が優勢だ。

「ちょっと、朝霞は綾人だけじゃないんだけど！！」

と奏汰が言う。

「お前らは一回待ってろ」

「えー」


不服そうだが、奏汰達が引下がる。

「それってさ、僕に1人で勝てそうってこと？」

ボスが言う。

「その通り」

綾人も言う。

ちょっと！綾人！？
ボスを煽らないで！？

ズキッ

いきなり痛みが私を襲う。

そうだった。
お腹刺されたんだった。

気づいたら余計痛くなってきた。

ガシャン

なにか物が倒れた音がした。

そこを見るとボスが倒れていた。

あのボスを…？

「ゲホッ」

ボスが血を吐く。

「勝てないなら仕方がない
最終手段だ」

最終手段？
嫌な予感がする。

「星華、行ってこい」

え？