「あら?さっきまで後ろに居たんだけど…」
オカマまでキョロキョロとあたしを探していて。
「あ、居たいた。なんでそんなとこにいんのよ?」
柱の後ろに隠れるあたしをすぐに見つけると駆け寄ってくるオカマ。
「なんであんた隠れてんのよ?」
「…命の危険を感じたもので」
あたしを見下ろしながら問い掛けてくるオカマに思わず素直に答えてしまう。
「命の危険…って、どちらかと言うとそれを感じるのはコータきゅんじゃないの?」
「おい、おっさん!命の危険って、お前何してくれてんだよ!」
あたしに呆れるオカマに灰色が噛み付くように怒鳴る。
「つーか、ブスそこにいんのかよ」
どんどん近付いて来る足音に身体が強張る。
だけど逃げ場もなくてただその場に立ち竦んでいれば、ぱっと目の前に現れた灰色と目が合う。
「おい、ブス!終わっ…わりぃ人違いだ」
「…え」
「馬鹿ねェ」
数秒何も言わない灰色と目が合って、すぐに怒られたけれどまさかの人違い扱い。
なにも間違ってないのだけれど。
「コータきゅん、馬鹿ねェ。その子で合ってるわよ」
そんなあたし達を見て可笑しそうに灰色に声を掛けるオカマ。
「はぁ?!これが、あのブス?!」
オカマにあたしだと言われて、訳が分からないとでも言いたげに騒ぎ出す灰色。
「…煩い」
あまりの煩さに呟けば、
「おい、こら、ブス。煩いとはなんだ、あぁん?」
物凄い形相で睨まれた。
…怖い。
思わず柱の影から逃げ出してオカマの後ろに隠れる。
