「こんなに綺麗な顔してんのに、あんなオバケみたいな前髪ありえないわよ」



勿体無いわと怒られても、あたしは前髪がなくなった事実が悲しくて落ち込む。


「前髪…」


「言っとくけどあんたがこだわりないって言ったから好きにしたのよ」


だけどフンッと、ドヤ顔をされてしまえば何も言えなくなる。


確かにその言葉は言ってしまったから。



「さっ!コータきゅんの所行くわよ」



今にもスキップしそうな勢いであたしを立ち上がらせて、腕が取れそうな勢いで腕を引っ張られる。



「そーだ。コータきゅんに会う前に良い事教えてあ・げ・る」



語尾にハートマークでも付きそうな勢いで、吐き出された言葉に思わず眉間にシワが寄る。



「コータきゅんってねぇ…」



そんなあたしを気にせず楽しそうに灰色について話してきたけれど。



「はぁ…」



それを聞き終わっても対して特に何もいい事じゃなくて、うまく反応出来なかった。