「その子に頼るみたいに、龍神にも頼ってみなさい」
「でも、迷惑」
「あんた1人支えるくらい簡単よ、多分」
頼れ、なんて言われてもあたしには難しくて。もう何年も閉じこもってきたのだから。
「あんたは難しく考え過ぎよ。それに、あんたが踏み出さないと龍神だって心開いてくれないわよ」
馬鹿ねと笑われてその言葉が胸に響く。あたしが踏み出さないと心開いてくれない、か。
踏み出せたとして、彼らは本当に心を開いてくれるのだろうか?
………分からない。
「取り敢えず切るわよ。寝ててもいいわよ。しんどいんでしょう?」
髪を切る用意が終えて寝ててもいいと言う。
正直有り難い。身体のキツさから眠気がきてて困ってたからとても助かる。
「髪に、こだわりないので適当にお願いします」
「分かったわ」
適当に、とお願いすれば楽しそうな声で返事が返って来た。
不思議に思いながらも目を閉じる。
"頼ってみなさいよ"
その言葉が脳内に繰り返される。だけど、落ちていく意識に思考はストップする。
髪を切る音が聞こえたのを最後に、あたしの意識は途切れた。
夢の中で見たあたしは羨ましいくらい幸せそうに笑っていた。
