最後の最後まで、その背中の人は控えめだった。


さっきまで仲間と揃って撮っていた写真も、一番後に写っていた。

二人の友人の肩を優しく抱くように立っていた。


でも今は違う。

サトミに飛びつかれて写るその人は、ファインダーの向こうでは主人公。


最後くらい、中心に立たせてあげたかった。

その心を満たしてあげたかった。


その願いがかない、サトミはその背中から羽ばたけるような気がする。



(バイバイ、センパイ。)




新学期になると、学校にはあの人の匂いはなくなった。


高校最後の一年が始まる。