先に買った物をしまってくれていた響くんにまじり、わたしと小鳥遊くんも袋から取り出していく。
「雪さんはまだ帰ってないの?」
「雪兄さんなら、裏庭でまた土だらけになってると思いますよ」
あ、裏庭で思い出した。
「……脚立ってここのお家にある?」
「あー……どっかで村田が使ってんの見たことあったな」
「僕も見たことある。んーと、確か……」
『裏庭の倉庫!』
同じタイミングで思い出した二人の声が重なった。
なんだよ……と小鳥遊くんと響くんは若干嫌がってるけど。
裏庭に倉庫あるんだ。
雪さんのガーデニングは知ってるけど見たことはないから、これを機に花も倉庫も見れちゃう。
「脚立ってことは、この前の電気ですよね?」
「そうそう。電気だけ残しちゃったからね。それに夏休み近くなってきたから、その前に終わらせときたくて」
「ああ、もう夏休みか。小柳、お前親んとことか行くの?」
空になった袋を畳ながらわたしに尋ねる小鳥遊くんに、響くんの視線もわたしに向く。
「いや、そんなお金ないかなっ。ビデオ電話だけになると思う」
事実だけど、地味に悲しくなる。
本当は会って話したいけど、お母さんたちが来るにせよ、わたしが行くにせよ、どちらもお金がかかるから。
夏休み前に、アパートの件と今の現状を報告出来たらっていうのが目標かな。
「小鳥遊くんたちはどこか行くの?」
「行かねーよ。雪兄が中学二?の時までは旅行とかしたけど」
三人掛けのソファをひとりじめするようにして座る小鳥遊くん。
響くんとわたしも反対側のソファに腰かけると、裏庭から戻ってきた雪さんが手を拭いながら入ってきた。



