御曹司たちの溺愛レベル上昇中




***






重い──





小鳥遊くんの言いかけたことは何か考えながら買い物をしたら、遅くなってしまった。


その上、わたしの特技が発揮される催しまであったから……って





あれ?





少し遠くに見えた同じ制服の男子生徒。

見覚えのある茶髪……



響くんだっ。




思わず荷物を持ちながら、手を上げそうになったけど、ここでしたらダメだ。


少しずつ縮まっていく距離に、楽しげに話していた響くんもわたしに気付く。
目が合ってしまった……



でも、素通り。素通り。


知り合いじゃないふりをして、わたしは響くんと友達の横を通り過ぎた。







「……はぁ」




角を曲がるまで体が強張っちゃったけど、

あれで大丈夫だったはずだから、よしとしよう。



あと少し頑張ろうと買い物袋を持ち直した時、片手がふわっと軽くなった。






「響くっ……え?何で?」


「随分と重そうだったので手伝いに。ほら、行きましょ。外に立ってて見られるとあれでしょう」



重い方を手に持って、数歩先を行く響くんを追いかける。



「でも良かったの?話してたのに」


「構いませんよ。いつでも話せますし。優先的に琉衣さんの方だと思って」


「ありがとう」


「……にしてもやたら重くないですか?」


「それが……詰め放題してて、やってしまいました。あ、でも全然もとは取れてるのでご安心を。わたし詰め放題得意なのっ」


「なるほど……詰め放題ってなんか楽しそう。今度僕もやってみようかな」


「またあるといいね」




二人並んでそんな会話をしていると、






「小柳!」






「小鳥遊くん」