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重い──
小鳥遊くんの言いかけたことは何か考えながら買い物をしたら、遅くなってしまった。
その上、わたしの特技が発揮される催しまであったから……って
あれ?
少し遠くに見えた同じ制服の男子生徒。
見覚えのある茶髪……
響くんだっ。
思わず荷物を持ちながら、手を上げそうになったけど、ここでしたらダメだ。
少しずつ縮まっていく距離に、楽しげに話していた響くんもわたしに気付く。
目が合ってしまった……
でも、素通り。素通り。
知り合いじゃないふりをして、わたしは響くんと友達の横を通り過ぎた。
「……はぁ」
角を曲がるまで体が強張っちゃったけど、
あれで大丈夫だったはずだから、よしとしよう。
あと少し頑張ろうと買い物袋を持ち直した時、片手がふわっと軽くなった。
「響くっ……え?何で?」
「随分と重そうだったので手伝いに。ほら、行きましょ。外に立ってて見られるとあれでしょう」
重い方を手に持って、数歩先を行く響くんを追いかける。
「でも良かったの?話してたのに」
「構いませんよ。いつでも話せますし。優先的に琉衣さんの方だと思って」
「ありがとう」
「……にしてもやたら重くないですか?」
「それが……詰め放題してて、やってしまいました。あ、でも全然もとは取れてるのでご安心を。わたし詰め放題得意なのっ」
「なるほど……詰め放題ってなんか楽しそう。今度僕もやってみようかな」
「またあるといいね」
二人並んでそんな会話をしていると、
「小柳!」
「小鳥遊くん」



