響くんと一緒勉強し始めてしばらく経った頃、
ぶち当たった。
──なにこれ、公式使ったのにわっかんない。
ちなみに数学。何でこんなことやる必要があるんだろう、と解く度に思う。
わたしの苦手教科かつ、いつもギリギリの点数をとる唯一心からのピンチ教科なのだ。
この問題に時間をとられすぎているわたし。
チラリ、斜め横に座る響くんに目を向ければ、
凄く集中してる──それにずっと、かどうかはわからないけど消しゴム使ったの見てない。
ノートに消した跡ないし……
サクサク解いているのだろうか。
「ん……つまりました?」
「えっ、あぁうん……」
ノート凝視しすぎて、気付かれちゃった。
どこですか、と響くんがわたしの方へ体を寄せる。
「この問題、公式使ったんだけど解けなくて……」
解きかけた問題を指差せば、響くんはすぐに、なるほどと声をもらした。
「ここ……この計算が一つ飛ばされてる。でも公式は合ってますよ」
「あっ本当だ!」
一部を消してやり直せば、すんなり解けた。
悩んだ時間はなんだったんだろ……
「ありがと、響くん。凡ミスだったね」
「意外とそういうのが多かったりしますからね。また聞いて下さい」
響くんはわたしが解いた問題に頷きながら、また自身のノートに目を向ける。
わたしもまた、響くんに聞けば解ける安心感を抱きつつ、勉強に励んだ。



