「お帰りなさい」
「お風呂ありがとう」
風呂上がり、雑誌を読む響くんがソファに座っていた。
飲み物……と思ったけど、テーブルに置いたままの説明書を手にわたしは響くんに声をかける。
「隣座ってもいい?」
「何で聞くんです?」
「えっと……」
思ってた返事ではない言葉がきて、わたしは口をつぐんだ。
何で、って聞かれるとなんといえばいいのかわからない。
「響、言い方ってもんがあるだろ?」
キッチンから小鳥遊くんが顔をだす。
小鳥遊くんが居たの知らなかったから、びっくりしたけど今はありがたいかも。
「……わかりましたよ、はい」
響くんはわたしに手を伸ばした。
……この手をどうすれば?
握手するわけじゃあるまいし。
伸ばされた手の意味を理解しないわたしに、響くんは痺れを切らし――
「わっ……!?」
一瞬にしてわたしの手が引かれた。



