「お前、なんか機嫌良くないか?昼辺りから」
帰りがけ、昇降口で一緒になった小鳥遊くんにそう言われ、わたしは満面の笑みで頷いた。
「今日、購買のメロンパン食べたんだっ」
「……で?」
「で……ってそれだけだよ?」
「安上がり」
「い、いいの!わたしはそういう小さな幸せがあれば」
「だろうなっ」
小鳥遊くんは笑って"お先ー"と帰っていった。
昇降口に残されたわたしはひとり呟く。
「わたし、安上がりなのかな」
帰り道、わたしはスーパーへ。
――今日の買い物はわたしに任されたわけだけど……
メモを片手にスーパーの中をもう何周したかわからない。
「うーん……」
必要なものはとりあえずいれたけど、
メモには括弧書きに――
(お前が欲しいもの、いるもの)と書かれていて、それが悩ましい。
いつも余計なものは買わない!って決めて買い物してたから、いざ自由に買っていいぞ!ってなると……これはこれで難しくて。
お菓子コーナや日用品コーナーを見たけど、
結局かごには何も入れてないし。
「無理に買う必要はないと思うから……あ――」



