「おかえり。俺ちょっと花見てくるね」
「おかえりなさい琉衣さん。雪兄さん、土まみれはだめですからね」
シェアハウスに着けば、雪さんはジョウロを片手に、ソファには本を読んでいる響くんがいて。
ただいま、と告げて部屋に向かいドアを閉め終えた途端、開けられた。それもどこか慌ただしく。
「え、颯くん……?どうかしたの?」
入ってきたのは颯くんで。
鞄を置きながら問えば、ドアを閉めながら『あれだ……』と返ってきた。
颯くんの、"あれ"をまたわたしは察せず。
けど颯くんは気にしないで続けた。
「だから……だな」
すぅ、っと深呼吸をした颯くんは、よしと呟きわたしの右手を取った。
「お前が好きだ。俺と……つ、付き合ってくっ……下さい」
噛みながらも言い終えた颯くんは『くっそ……かっこわりぃ』と項垂れるも、
言われた言葉の意味を理解したわたしは、自分も分からぬうちに涙が出ていて、それを見た颯くんがぎょっとしたのだった。
「え、泣っ……!?俺、変なこと言ったか!?」
「い、言ってないよ!?ごめん!」
あいている手の袖で思いきり拭うと、即座に取れていた腕が引っ張られ、颯くんの指で伝った涙が拭われた。



