「……って、余裕見せてみたけどムリだ!!」
ばっと、離れていったと思いきや颯くんはしゃがみこむと両手で隠した顔をベンチに伏せてしまう。
「は、颯くん?」
「……嬉しくて舞い上がった反動か……泣きそうになってきた」
え?泣きそう?
伏せてるからこもった声だけど、そうはっきり聞こえた。
だからなんとかよたよたと歩いていて颯くんの隣にしゃがみ、肩をつついてみると顔を見せてくれて。
「大丈夫?」
わたし自身、大丈夫ではないではないのだけど。
泣きそうと言われてただ立ってるわけにもいかないから。
「だいじょばねぇけど、だいじょぶ。……優しいなお前は。もう!俺どうしたらいいんだっ。こんな顔じゃ帰れねぇし……」
「わたしもちょっと落ち着きたいから、もう少しだけここにいよ?ご飯は急ピッチで頑張るから」
「うん、いる」
素直……。
度々思う、可愛いという感情を今もなお抱いてしまうけど思うだけにしないと。
そしてその後しばらく、わたしたちは二人並んでベンチの前にしゃがみこみ、互いが落ち着いて帰れるようになるまで過ごした。



