御曹司たちの溺愛レベル上昇中



「しかたねーよ。お前の記憶になくても俺にははっきり残ってんだから問題ねぇ」

「ごめん……でも、まさかそれでってこと?」

「それをきっかけに、お前のこと気になるようになったのは確かだ。それから話すようにしてどういうやつか知って、夏休み前にはだいぶ惹かれてたと、思う……って恥ずっ」


言葉にするとやべぇな……と赤らめる顔を手とココアの缶で隠す颯くん。

話してくれてありがたいと思うと同時に、ひとつ気付いた。

話すようにして……ってとこ。
日常的な会話はもちろん、今思い返せば校外学習も、林間学校も、修学旅行の時も──大きな行事でグループを作る時には必ず颯くんが誘いに来てくれていたことを。


『俺の班に来いよ。てきとーに女子は決めとけ』って。
声をかけたりかけられるよりも早く、颯くんは来てくれていた。

クラスが違った二年生の時は、よくわたしのクラスで他の男子と話したりしながら『よっ』って言ってくれて。

会話らしいことがなくても、毎日それだけは言ってくれていた。
だから学校で颯くんを見ないことも、話さないことも一日たりともなかった。


……思い返すと、その頃から颯くんが想ってくれていたんだって感じる。

高校に入ってからもそう。