夢のような生活にも苦しさや葛藤があるのだと教えてもらえて良かった。
わたしがどうやっても体験出来ない部分だから。
「だからね、あれだな。胃袋をつかまれたってやつなんです」
「……響くんからそんな言葉出るなんて思ってなかった」
もっと、時間をかけてなにかあって、それから……みたいな話をされると思っていたから。
勝手な予想でしかないけど。
「いやいや、当然それだけとは言いませんよ。初日のカレーで胃袋はつかまれましたけど……少しずつ琉衣さんのこと知って、それでちゃんと女性として好きになっていったわけですから……料理の腕だけではないですからね?」
「う、うん……ありがとう。教えてくれて」
なんだか、雪さんの時より緊張した……。
ずっと、手握られたままだったのもあって。
「……どうですか?僕が琉衣さんを好きになったのなんでだろう?って考えてる悩みは薄れましたかね」
「なっ、なんで知ってるの!?」
「ははっ、カマかけてみただけですよ。当たりなんですね、嬉しいなぁ」
けらけらっと笑う響くんを置いて立ち上がるも、繋がられた手が離れるのを許さなくて。
「はい、少しでも解決したなら一緒に部屋に戻りましょっか」
楽しげな響くんと共に二階へと戻ることにした。



