「な、なんで急に来たんだよ。村田と違ってこえーな……」
「なんだ颯。不都合なことでもあるのか?」
「い、いや……」

「ドアのことじゃなさそうですし、学校の一件ですか?」


学校の一件……

そうか、今まで守り抜いてきたのに御曹司バレをしてしまったから……。


「その件ならわたしのせいでっ」


言いかけたわたしに手でストップをかけるお父様は、何度も頷く。


「知っているよ。けど、どうにか出来たのだろう?なら私は何も言わないさ。それよりも……」
『それよりも?』


三人が前のめりになりながら問えば、困ったように笑った。……なんだか、雪さんが困って笑った時に似てる。


「私が寂しくなって会いに来た」

「は?」

「あと、お嬢さんとも会ってみたいっていうのもあってね。でも……ドアを壊したって話はなんのことかな」


含みのある笑みに颯くんと響くん、それにわたしまで背筋が伸びる。
壊したのはわたしではないけど、その要因をつくったのはわたしであるわけで……。関与してないとは言い切れない。


「……俺と響で小柳の部屋のドアぶっ壊した」
「すみません。琉衣さんの顔が見れないのが嫌すぎて颯くんと壊しました」

「俺、止めなかったし俺も悪い」


頭を下げる颯くんたちに合わせて、わたしも同様に下げれば、