「……は?今、雪兄にも告られたって言った?」
「う、うん」
信じらんねぇ、と颯くんは口をおさえる。
「雪兄もかよ……あーもう……小柳、お前なにモテてんだよ」
わたし自身なんでか分かってないから、なんとも……。
特別、何かしたって自覚も……思い当たらない。
「しかも俺の兄弟からって……っくしゅ」
ずっと外にいたから、時間的にも体は冷える。
「颯くん、とりあえず中に入ろ。風邪引いちゃ──」
「待て、小柳」
ドアノブに手をかけたわたしの手に重なる颯くんの手。
背中から伝わる温かさに、すぐ後ろに颯くんがいるのを感じた。
「俺が今何言っても、絶対こっち振り向くなよ。顔あちぃし……なさけねぇ顔してるから」
颯くんに重ねられた手から、あちぃと言う熱さが伝わって、ただただわたしは頷いた。
「……響の言う通り、お前と今の関係を崩したくなくて進めないでいたから、先を越された。でもそのまま見てるだけにはならねぇ」
後ろから片腕で引き寄せられ、颯くんは耳許で囁く。
「俺は……ずっと、ずっと前からお前が好きだ。小柳」
毎日のように耳にしていた声なのに、初めて聞いたみたいな──甘い声。
どくんっ──
鼓動が早鐘を打った。



