またも、胸の高鳴りを感じ出せば、雪さんはまた体育座りに戻った。


「はぁ……言えた」


その横顔をちょっとだけ見てみれば、耳が真っ赤で……

頑張って伝えてくれたことが分かった。

なら、わたしも一言はきちんと返さないと。


「……ありがとうございます。お時間、いただきますね」

「うん。……っ俺、限界っぽい」
「え?」
「これ以上今ここに居たら、響みたいなことにしそう……な気がしなくもないから、退散するよっ」

「えっあ……」


急に立ち上がるなり、雪さんは足早に部屋を出て行った。

今しがた……お腹が空いたと思ってたのに、全然そんな気は消え去って。

けど、せっかく雪さんが持ってきてくれたたこ焼き、冷めないうちに食べておきたい。

とりあえず食べて、ゆっくり整理しよう。


「いただきます……」


一口、食べたけどもうぬるくなってしまっていた。……温め直そうかな。

下におりようとたこ焼きを持てば、時計はもう二十二時を回りそうだった。


──わたし、そんなに座ったままでいたの……。