たこ焼きへ伸ばした箸が止まり、雪さんを見れば、困ったような笑みが返ってきて。

わたしが何かを言う前に、もっと縮こまるようにしながら雪さんが口を開いた。


「さっき、響がしたことに俺も颯も動揺した。俺なんか……無意識に琉衣ちゃんの手、引いて……モヤモヤってして、抱きしめた」


力加減とかしてなくて痛くなかった?と、雪さんはそっとわたしの制服を掴んだ。


「大丈夫です。それに、全然痛い思いはしてませんよ」


たこ焼きと箸を置いて、制服を掴む手に自分の手を添えるように置けば、雪さんはわずかに顔を上げる。


「響くんのことは……わたしも驚いて、今は整理中というか。好きって聞かれれば好き、なんですけど、それは颯くんや雪さんにも共通する好きって気持ちで……今すぐにどうとは」

「……なら、響のことを考えながらでもいいから、俺のことも考えてもらっても……いい?」


わたしが添えた手にさらに手を重ねる雪さんは、まっすぐわたしを見据え、顔を赤らめながら言った。




「俺……琉衣ちゃんのことが好き。だから、俺にもチャンスが、欲しい」



「雪さん……」

「俺と居て、もっと俺のこと知って欲しいんだ……返事はいつでもいいから」