──顔の熱が冷めないままに、どれくらい時間が経ったのか……部屋が明るくなってもなお、ただ床に座ってるだけだった。

なんで響くんにあんなことをされたのか、そもそもなぜ自分が好かれたのか、そればかり考えて。……結局、聞かないと分からないのに。


「……少し、切り替えなきゃ」


着替えてすらいないし。

座りっぱなしだった体を持ち上げようとした時、カーテン越しから声が。



『雪だよ。今平気?』


こうしてカーテンだけになっても、無断で覗いたり入ったりしないのは雪さんだけ。


「はいっ、大丈夫です」


立ちかけた足をもとに戻し正座になれば、雪さんは『お邪魔します』とゆっくりカーテンを開けて入ってきた。


「たこ焼き、温めてきた。もうとっくにご飯の時間過ぎてるから、お腹空いたんじゃない?」

「あっごめんなさい、ご飯……」

「いいのいいの。たまには。はい、琉衣ちゃんの分だよ」
「……ありがとうございます」


隣に座った雪さんから箸とたこ焼きを受け取ると、急にお腹が空いてきた。
いいのか悪いのか、お腹は正直みたい……。
何もいれないのはよくないから、さっそくたこ焼きに手を伸ばしたところで、



「……響のこと、好きになっちゃった?」


体育座りをする雪さんがぽつりと呟くように言った。