──部屋に着いてから、共有ルームが騒がしくなったの声が、部屋にいながらも静かにしていれば聞こえてきた。
勿論、言葉までは分からないけど。多分、ドアがないせい。ドアが壊されてから、ただ目隠しカーテンをしてるだけになったから。
でも、それより……
"ド直球でいかせてもらいますね"──笑顔からすぐ、あの近さの響くんの顔が頭から離れない。
あの……感触も。
思い出すと、体が熱くなる。
部屋に明かりをつけないまま、わたしは床に寝転がった。
目を閉じても開けても、過ぎる。同じ映像が。
「……はぁ」
ドキドキが全然おさまらない。
「……何してるんですか、暗い部屋で」
「っ!?響くっ……」
起き上がれば、カーテンから覗いていた響くんが入ってきた。
響くんはそばに来てしゃがみ、どうすればと正座になるわたしの頬に手を伸ばす。
「ふふっ熱い。……可愛いね。暗いのに赤いのが分かりますよ」
「あ、えっと……」
全然言葉が出ない、口も動かない。
「順序って言われるとそうだなって思うから、ちゃんと言っておきますね」
咳払いをひとつして、響くんはわたしを見据える。
「……好きだよ。最初の頃に冷たくしちゃったことはごめんなさい。その分……ってわけじゃないですけど、好きだよって大事ですよって伝えていくので、僕のこといっぱい考えて下さい」



