「だから遅くなった。……つか、なに断った事に驚いた顔してんだよ。大体、俺はお前が──」
「はーいはい、何言おうとしてるの?颯くん」
「……響、お前いつの間に」
「今の間です。ついでに雪兄さんもいますよ」
「ただいま。たこ焼き貰って来たよ」
響くんの後ろから来た雪さんは、微笑みまじりにテーブルへたこ焼きを置いてソファへ座る。
響くんもまた向かい側へと座った。
「ところで、琉衣さん大丈夫でした?他の男子に呼び出しとかされてません?」
「えっ、してないしてない!されないよ。モテないから」
胸の前で思いきり、ないないと手を振れば響くんは可愛らしい笑みを浮かべる。
「なら安心。いいじゃないですか、僕にモテれば」
「おい響」
颯くんが睨めば、響くんは大きく息を吐いて立ち上がった。
「……なんか、今さっき颯くん言おうとしてたから僕もいいかなって思ってきちゃった。どうせバレてるようなものだし。……琉衣さん、ちょっと」
手招きされ、立ち上がる響くんのもとへ行けば、手をそっと握られた。
「おい、響」
「邪魔しないで」
颯くんに目を向けることなく、響くんが言い放てば、握られていた手に力が込められる。
「……響くん?」
「見られてるし、もうド直球でいかせてもらいますね」
「え?」
何かを問う間もなく、響くんが笑顔を浮かべた瞬間、手を引かれ、
口元に柔らかいものが触れた──



