「──うん、じゃあまた連絡するから。うん、じゃあね」
片付けの後に、お母さんとの電話も無事終わった。
……少し、癒されたかも。
家族との会話はやっぱりいいものだな。例え電話越しでも。
「ふぅ」
小さく息を吐いて携帯を枕のそばに置いて、わたしはひとり呟いた。
「……小鳥遊くんって、御曹司だったんだ」
"中等部からは一般的な学校に──"
響くんの言葉が頭に過る。
中一の時同じクラスになった小鳥遊くんは、特別御曹司オーラのようなものはなかったし、
クラスの男子が小鳥遊くんにからかい半分なんだろうけど、聞いていたことがあった──
『なぁ小鳥遊!お前あの有名なとこのお坊っちゃんだったりすんの?』
『はぁ……?小鳥遊って苗字だけで決めんなよ。そんなことあるわないだろ』
『だよなー!』
あの時は軽くあしらっていたし、周りもそんなわけないかー、と。小鳥遊って名字の人は他にもいるんだし、違うんだってわたしも思ってた一人。
……でも違うんだ。



