またも颯くんは目を細め、視線は響くんへ向く。
その視線を感じ取っても動じない響くんは、ヘラっと笑った。
「ほんとのことでしょ?」
「なわけねぇだろ。小柳にお前みたいな初見冷ややかデリカシーなさ男は似合わないな」
「……なにそのネーミング。意味わからんないですけど。でも大丈夫。今はこの通りだし?この中なら僕が一番まともだと思うよ?」
「どの口が言ってんだ、どの口が!」
「僕の口ーっ」
あぁ……追っかけっこ……。
バタバタと部屋を出て行った二人。
「……行っちゃった。まぁ、見ての通りいつもと変わらないでしょ?御曹司バレしても、一緒に住んでることを言われても。俺たち、結構根は図太いみたいだし、変わらず学校に行っても琉衣ちゃんのことは守れるから、そう心配しないで、ね」
よたよたと近くに来て、穏やかにわたしを見つめる雪さんは優しく背中を擦ってくれる。
「ありがとう、ございます……」
「……小柳」
「あ、戻ってきた」
響くんと共に部屋に戻ってきた颯くんは、持ったままにしていた新聞を思いきり握りつぶした。
「……新聞のこと、気にすんな。全部なんとかしてやるから」
「そうそう。ビビって学校来れなくなるのはあっち側だと思うので、琉衣さんはドンと構えとけば大丈夫ですよ」
「……ってことで響!お前あの発言取り消せ!」
「嫌ですって」
全生徒全先生に知れ渡る事が起きたのに、普段通り……。ドンと構えとけばって言われたけど、
わたしは──



