「あのっ──」


「ごめんとか言うなよ」
「え……でも……これは、わたしのせいで……」


手もとにある新聞を一瞥しながら言えば、颯くんはしゃがみ、わたしの手から新聞を取った。


「誰も、んなこと思ってねぇよ。響も雪兄も」


「そうですよ。むしろ良かったんじゃない?堂々と一緒に登下校もデートも出来ますし」


ね、と颯くんの隣にしゃがみ微笑む響くん。
だけど、颯くんは一瞬にして響くんを睨みつけた。


「あ?」
「何ですか?」


負けじと睨み返すやり取りに、雪さんは困りながらも笑ってわたしのそばにきて座った。


「まただ……でも颯の言う通り、俺も気にしてないよ。それに……響にも一理ある、と思うから。俺も一緒に寄り道とか、してみたいし。今度してくれる?」


わたしの涙のアトをそっと指で拭い、雪さんは薄く微笑む。すると──


「ちょっとっ颯くん邪魔!!雪兄さんが琉衣さんのこと誘ってる!」
「はぁ……!?雪兄、さりげなさすぎんだっての!目離すとこれかよ!」


こちらを見るなり、すぐさま睨み合いをしていた二人が雪さんの腕や肩を掴み、わたしから離していく。
雪さんは連行されるがまま抗わない。


「俺、放課後の寄り道に誘っただけだよ?」
「二人きり、だめ。分かりました?」
「なんで?」
「なんでも!恋路邪魔しないでって言ったでしょ?」
「そうだ、響お前ステージ上でサラッと何か言ったよなぁ?後々僕がもらいますとかなんとか……」