「……アイツに何か言ったやつ、全員顔と名前覚えってから覚悟しとけよ。この記事書いた野郎もな」


颯くんの声は、すごく低く、静かだった。だけどその声はマイクを通して体育館にいる全員を黙らせることになった──





***



颯くんが最後の一言を言い終え、ステージからおりてきた後、響くんと雪さんも一緒に家へと帰ってきた。

三人とも『気にしなくていい』と口にしてくれるも、わたしは罪悪感でいっぱいのまま。


家についてすぐありがとう、とだけ告げて部屋へとこもった。


鞄からぐしゃぐしゃになった新聞を引っ張り出して、床にくずおれるかのように座り、新聞を広げる。


「……っ」


記事の写真も内容も、頭に入っててコソコソと言われていた風景も、笑いながら話しかけてきた女の子たちの顔も全部……頭から離れない。

颯くんと響くん、雪さんが言ってくれたことも。


全部、こうなったのはわたしのせい。わたしの……。


歪む視界から涙がこぼれ落ち、新聞が滲んでいく。でも、わたしが泣いていい立場じゃないんだから、とまれ。とまって。

無理矢理にでも涙をとめるため、強く目を擦れば──



ガシャァン!!と、部屋のドアが外れ倒れてきた。


「えっ……?」


あまりにも大きい音と起きた事に、擦る手が止まる。


「な、何してるの?」