──体育館まで走り、まだ集会が始まってないのか、ざわついてるのを感じながら入口付近に来て足を止めた。

中にいる先生の手に、号外の新聞が握られていたのが見えたから。

それに中に入ってしまえば、新聞や流れてしまった噂を目にも耳にもした生徒たちの目が……向けられることになるんじゃないか。
そう思うと、足を後ろに引きそうになった。


でも、事の内容を把握してるであろう颯くんは、もうこの中にいる……んだよね。

わたしと同じような視線が向けられてしまってるかもしれない。だとしたら──


意を決して俯きながらも体育館の敷居を一歩またげば……ひときわ生徒たちがざわつき始め、わたしは足を止めた。


"あれ、小鳥遊くんじゃない?"と、近くにいた生徒の一言で顔を上げることに。

勢いよく顔をあげた先に見えたのは、ステージ脇にいた先生から取ったのか、マイクを片手にした颯くんがステージに上がっていくところだった。


──颯くん!?……なんで?


先生たちが颯くんを止める様子も一番ステージから遠いわたしからでも見える。
だけど颯くんは、止めに来た先生を無視してステージの真ん中へ立った。より一層騒がしくなった体育館のステージに。
そして、マイクを口元へ持っていった。