異様な雰囲気の教室の中で、新聞を握りしめれば、放送が鳴った。
『全校生徒に伝えます。夏休みあけの集会が始まりますので体育館に集合してください。繰り返します──』
何度か繰り返し同じ放送が入って、生徒が移動し始めても、わたしは立ち尽くしたまま動けないでいた。
教室の前を通っていく生徒の中に、未だコソコソと話す声も視線もあって、顔を上げられない。
しばらく微動だにせず、ただ静かになるのを待った後……ゆっくりと椅子に脱力するかのように座った。
くしゃくしゃになった新聞を広げて。
もう一度目を通した写真と内容。
この新聞が校内で出回ってるのって……わたしのせいだ。
アパートの一件でわたしがシェアハウスにいたから、こんなことになってしまったに違いない。じゃなかったらこんな……御曹司バレもしなかったはずだから。
「どうしようっ……」
わたしのことを好き勝手に書かれるのは構わないけど、颯くん──小鳥遊グループの御曹司が今までバレず過ごしてきた日常を壊すようなことになってしまった。
写真と内容が頭を支配する中、
「……集会」
わたしがひとり教室に残っているってことは、颯くんは──
体育館に行かないとっ……。



