寝坊をしたからか、息を切らしながら教室へ来た颯くん。
すぐに……なんだこの空気。そう言いたげな表情の颯くんに女の子たちが駆け寄った。
「小鳥遊くん、琉衣ちゃんみたいのがタイプだったの?」
「新聞見るとやばい気がするけどねっ。というか御曹司ってほんと!?」
新聞……もらった新聞に視線を落としていく。
──っな、なにこれ……!?
号外の新聞には、わたしが颯くん、響くんと雪さんといるツーショット。それに、買い物の写真。
アパートの行き来の写真、公園での写真。
全てうまくわたしと誰かのツーショットとして載せられている。
怪我をしたあの日、病院に行った姿も。
おまけに別荘に行った時の写真もあった。行く時から帰ってきたところまではっきりと。
慌てて裏面も見れば、わたしのアパートの件、颯くんたちが小鳥遊グループの御曹司だった件が細かく書かれていた。
……なにこれ。これはどういうこと?
なんで──
『なんかの大会で入賞したらしいよ』
『また?凄いよねー新聞部』
"新聞部"……
以前購買に行く時に聞いた女の子たちの言葉が過ぎった。
でも、なんで新聞部がわたしたちのことを取り上げるの?



