「では説明も終わったので、僕は失礼します。あと颯くん、マフィン汚い。片付けて下さい」


響くんは鞄を手に、すぐさま階段の方へ歩いて行ってしまった。それを慌ててわたしは追いかける。

「あのっ、ありがとう。後、今日からよろしくお願いします。なるべく迷惑かけないようにするので……」


階段をのぼりかけたとこで肩越しに響くんは振り向いた。


「はい。と言っても、僕は誰がいても気にしませんので」


にこり、笑って二階へ行ってしまう響くん。

だけど笑った顔は優しさを含んだ訳じゃなくて、冷たさを含んだ笑顔のように感じた。


響くんの笑顔を気にしつつ、わたしは部屋に荷物を置きに行くため、落としたままの鞄を拾う。


少し復活してソファに座っていた小鳥遊くん。声かけてから行こうかな。


「小鳥遊くん、わたし部屋に行くね。荷物整理したいから……」

「あ……あぁ」


どこか歯切れの悪い返事。


でも仕方ない。急に同級生が同居人に変わったんだもの。

わたしも小鳥遊くんも、動揺しないわけないよね。