「この家には小鳥遊グループの……まぁぞくに言う、御曹司の僕たちが住んでいます。小鳥遊グループっていう名前くらいは聞いたことあるでしょう?」


小鳥遊グループ──世界的に有名な大企業グループ。

一応貧乏だけど、それくらいは知ってる。
だからわたしは響くんに頷いて見せた。


「でも何で普通の高校か、ここに住んでいるのか、という点については……強いて言うなら父親のポリシーですかね」
「お父様の?」


ってことは社長さんじゃ……。


「初等部までは名門の学校でしたけど、中等部からは一般的な学校へ。それは──」

「視野を広く持て、大企業の家に生まれたからといって他の人と何も変わらない。自慢することなく、平等というものを覚えろ。っていう親父の言いつけ」

響くんの言葉を遮ったのは小鳥遊くん。
しゃがんだまま、言葉を口にしたのだ。


「……何ですか急に。説明する気になりました?」
「別に、そうじゃないけど……」
「そうですか。まぁざっくりかもしれませんが、そういう理由です。ちなみに村田さんは、僕たちの側近……保護者代わりみたいなものです」
「なるほど……」


だから、あんなに品があるお方だったのね。
御曹司の側近って言われたら、ものすごい納得。