貧乏生活してたから、目が慣れてしまえば怪我をしていても怖くない。
人よりもお化けとかの方がわたしは嫌だ。
「お前なぁ……そんな自信満々に言うことじゃねぇよ。もうこうなったらまず響、最初にお前がいけ。一番怖くなさそうだし!」
呆れまじりにわたしに言った後、颯くんは響くんの肩を叩く。
行けと言われ叩かれた手を響くんは振り払い、目を細めた。
「なにそれ、僕をまず犠牲にしようと?……この可愛い可愛い末っ子を?それってどうなの、オニーチャン?」
「お前からお兄ちゃんとか呼ばれるとこの状況もあいまって寒気がしてきた……」
「失礼な」
寒がる素振りを見せる颯くんに、いじけるように響くんは顔をそらす。
そんな表情も、段々と暗さを増してきた部屋の中だと近くいるのに見えづらくなってきた。



