明かりを灯した途端に、再び薄暗い空間へ逆戻りしたリビング──


沈黙が訪れたと思いきや、颯くんが急に慌て出した。


「……い、い今の聞いたよな?聞こえたよな!?ドゴンって」

「はぁ……聞いたけど、もう変なことはあの時の雪兄さんで十分なんだけどな」


怖がる素振りが微塵もない響くんに、


「……俺、なんかしたっけ?」


同じくさほど気にしていない雪さんは、なんのことかとわたしたちに問う。


「いや、したろ!」

「……やめて下さい颯くん、あの料理がフラッシュバックしたので」

「奇遇だな響、俺もだ」

「わたしも……」


暗いキッチンから魚の……
その日から雪さんは料理することを禁じられたんだった。


「全然わからない……」

「いいよもう。雪兄さんの場合、あの件は悪意じゃなく善意なんだから。気にしないで」

「……そう?わかった」


思い当たる節がないのか、悩みだす雪さんの肩を響くんは優しく叩いた。