「あの時かぁ……!」
思い出したようで、より頭を抱えてしまった。
一瞬心配になったけど、村田さんちゃんと伝えてくれていたんだ。だよね、村田さんだもの。
「……どうせまた軽く流したんでしょう」
「うっ」
あぁ、図星。
小鳥遊くんが若干落ち込みモードなのか、全然回復する気配はない。
どうしたものか、そう思っていると茶髪の男の子がわたしに向いた。
「村田さんから貴女も聞いてると思いますが、一応礼儀なので……僕は小鳥遊 響、高一です。字だけだと、ひびきって呼ばれるんですが、きょうなので」
よろしくお願いします、と。
「小鳥遊?」
同じ苗字に、首を傾げたわたし。それを見て響くんは眉を寄せた。
「……村田さんからどんな説明されたんです?」
「えっと」
──『あ、そうそう!ぼっちゃ……っお三方ともお嬢さんの通われている学校の子達でございます』
わたしは村田さんとの会話を思い出し、響くんに話した。
「え?それだけ、ですか?」
「それだけ……です」
はあぁ──と片手で頭を抱え、盛大にため息をつく響くん。
「あ、あの……」
「……村田さん、手抜きしたな」
ぼそっと響くんが呟いた。
え?手抜き?
「仕方ないな。僕が説明しますからこっちに」
ソファに座るよう促され、わたしと響くんはソファに座った。
落としたままのマフィンをそのままに。
ちなみに小鳥遊くんは落ち込みモード継続中だ。



