──!?



「……っ!?お、おっ……おわっ!?」



バシャーン──!!

驚いたせいで足がもつれた颯くんが、そのままプールに落ち、大きな水しぶきがあがった。


「颯くん!?」


ボールも宙を舞い、水の上に落ちる。

しかも颯くんは水の中でジタバタとし、なかなかあがってこない。


「……もがくほど深くないんですけどね。完全に照れてるだけでしょう……あっ」


タオルを剥ぎ取った響くんの隙を狙って、わたしはタオルを取り返す。
その間、ようやく顔を出した颯くんがこちらに泳いできた。


「ぷはっ!!あぁ……死ぬかと思った……」
「颯っ……大丈夫?」


雪さんは、そばにあった浮き輪を颯くんに投げる。
そのまま受け取った颯くんは、顔を上げて睨むように目を細めた。


「バカ響、お前な!じょ、女子のタオルとか勝手に取ってんじゃねぇよ!」
「一番耐性ないのは颯くんってことで。優勝おめでとう」


嫌みたっぷりに響くんは拍手を送る。


「なんのだよ!」
「んー……小鳥遊家ウブ男子選手権、ってとこでしょうか」


バカかよっ、と吐き捨て颯くんは一度あがってくると、雪さんが響くんに尋ねた。


「響……俺は?」
「雪兄さんは準優勝。僕はビリの三位ですよ」
「準優勝か……」

「いやなんで残念そうなんだよ!おかしいだろ……優勝こそ最悪だろうが!」


と、颯くんが響くんに浮き輪を投げた。
……かわされてたけど。


「小柳、お前は終始浮き輪必須な。溺れ防止」
「あ、うん」

こちらを見ずに差し出された浮き輪を受け取り、その後わたしたちはプール時間を楽しんだ。