「足は大丈夫?」
「はい、大丈夫です。マットも用意してもらったみたいで……」
「あ、だから今日マットだらけなんだ」
やっぱり、いつもこんな敷き詰めてないだろうと思った。
雪さんや颯くんに言わず、単独で決めたんだ、響くん。相談したのかなって思ったけど違うみたい。
「で、雪兄さんたちのおかげで浮き輪もボールも用意出来ましたし、琉衣さんも準備運動……タオルしてたら準備出来ませんよねっ」
にこっ、と響くんはタオルを渡して欲しいと手を出してくる。しかも笑顔で。
「え、出来るできる」
あぁ、またさっきと同じように口が尖った。でも可愛いんだよね。
本人に言うと拗ねたりしそうだから、思うだけで終わらせるけど。
「せめてお披露目だけでもいいじゃないですか……雪兄さんも見たいよね」
「え」
落ち込む……多分振りだけど。
シュンとしながら話を雪さんに振った響くん。
「見たい、よね……?」
「え、あ……うん。み、見たい、かも」
響くんの圧に押され、すぐ負けてしまった雪さん。
「雪兄、なんか言ったー?あれ、なんかこれ閉まんねぇ。ガタガタしてんぞ?」
やっと倉庫から出てきた颯くんは、戸をしめるのに苦労してる様子で。
「颯くん!琉衣さん着替え終わったってば。早く戻ってきてくださいよ」
「やっと閉まった!……なんだって?」
ボールを拾い、颯くんがこちらを見た瞬間……
私のタオルが剥ぎ取られてしまった。



