「べっ……え、別荘って?小鳥遊家の?」
「あぁ。いくつかある」
えー──あぁ、ってそんな普通に……
しかもいくつか、って
異次元過ぎる……
「せっかくの夏休みですし、日頃のご褒美として満喫するのも良いのではないでしょうか。……それに、琉衣さんのお怪我には薬湯もよいでしょうし」
あ──
本当なら最初から、わたしの足のことに気づいて聞いてもおかしくないのに、村田さんは聞かずに
察してくれてたんだ……
「長い移動には車椅子をお使いくださ──」
「俺が押す!」
「僕が押します」
「お、俺もっ……」
はい!と挙手する颯くんと響くん。
それに、少し遅れながら小さく手を挙げた雪さん。



