御曹司たちの溺愛レベル上昇中





二人して遮らなくても……本当こういう時に、息ぴったりなところ見せてくるんだから。


でも引かないよ、わたしは。



「ほんっとうに大丈夫だから!お風呂に行かせてっ」


松葉杖を武器に二人の間を抜け、怒られる片足歩きをして階段前まで行けば、



「琉衣さんそれだめだって!」

「小柳!ストップ止まれ!」

「ま、待ってっ」



注意しながら追いかけてくる響くんと颯くんに、よたよたとその後ろから歩いてくる雪さん。



「一人で行っていいよって言うまでケンケンやめないもん」



と階段をおりていく。


子供みたいだな、とは思うけどこの場合なんでもいい。

こら!って背中から聞こえてくるけど、松葉杖で牽制しつつ、わたしはお風呂場までやってきた。


扉を開けそっこうで閉め掛けた隙間からわたしは言った。




「……男の子厳禁!」




うっ……、と声をもらす颯くんと響くん。


その後ろで雪さんはひらひらとわたしに手を振っていた。


だから二人には含みのある笑顔を、雪さんには普通の笑顔を向けて、扉を閉じた。